夜の海に立ち…

思いついた事をとりあえず書いてみる。

文学

J.G.バラード「Kingdom Come」を読んでみた

2009年に亡くなったJ.G.バラードの最後の長編小説「Kingdom Come」は「千年紀の民」や「人生の奇跡」の巻末によると、東京創元社が柳下毅一郎氏の翻訳で翻訳版を出す予定になっている。 しかし、「ハイ・ライズ」の映画化、没後10年の節目や「ハロー・アメリ…

殺す、千年紀の民、ハーモニー

施川ユウキの「バーナード嬢曰く。」を読んだことをきっかけに伊藤計劃の「虐殺器官」や「ハーモニー」を読み、これらの作品中で言及のあったJ・G・バラードやジョージ・オーウェルの作品を読むことが多くなった。 特にバラードについては虐殺器官では主人公…

私がどれだけユートピアが嫌いかという話

ジョージ・オーウェルの「1984年」などディストピア小説をいくつか読んだ後に、ディストピアという単語の元になったユートピアについて気になって、トマス・モアの「ユートピア」を読んだことから話は始まる。 この作品は著者のトマス・モアがアントワープで…

「シュピーゲル・シリーズ」は果たしてライトノベルだったのか?

2018年3月20日、冲方丁「マルドゥック・アノニマス」の3巻が発売された。1巻から2巻の間に比べて随分と待った。2巻を読んだ時点で、今までと違って3巻で終わらないだろうと思っていたが、案の定3巻で終わらなかった。 マルドゥック・アノニマス3 (ハヤカワ文…

「響け!ユーフォニアム」謎すぎる主人公の特技

映画「リズと青い鳥」の公開に先駆けて、新しい短編集が発売された原作の吹奏楽小説「響け!ユーフォニアム」。 アニメのヒットもあって原作の小説も長いシリーズになり、出版元の宝島社も特設ページを設けるなど気合いが入っている。 tkj.jp 特設ページには…

ジョージ・オーウェルとブリティッシュ・レイランド

少し前にジョージ・オーウェルの「1984年」を読んで、死ぬほど面白かったので「動物農場」や評論などオーウェルの著作を読み漁ってた時期があった。 オーウェルの評論は宗主国の人間の立場で植民地支配を批判した「象を撃つ」、ヒトラーとその著作について書…

名作タイトルを振り返る

フレドリック・ブラウンの「天の光はすべて星」を読んだ時に、巻末の中島かずき氏のコラムで素晴らしいタイトルについて書いていた。 そこで取り上げられたのがフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」等だったりしたが、私の場合…