夜の海に立ち…

思いついた事をとりあえず書いてみる。

ジョージ・オーウェルとブリティッシュ・レイランド

少し前にジョージ・オーウェルの「1984年」を読んで、死ぬほど面白かったので「動物農場」や評論などオーウェルの著作を読み漁ってた時期があった。

 

オーウェルの評論は宗主国の人間の立場で植民地支配を批判した「象を撃つ」、ヒトラーとその著作について書いた「書評・我が闘争」、メシマズ大国イギリスの料理は本当は美味しいんだよと釈明する「イギリス料理の弁護」など結構いろんなジャンルの事を書いている。

 

1984年」や「動物農場」は思いっきりスターリニズムを批判するような内容で、当時のソ連では発禁処分を食らったり、「カタロニア讃歌」では「ファシストには勝たなくてはならない」と語ったり、「動物農場」の序文ではソビエト共産党の顔色ばかり伺って自主検閲を行おうとしている知識人たちを批判していたりと、自身の政治的な立場はかなり明確にしていた。

 

では、そのオーウェルの目指す社会とはどんなものか。

 

  • 基幹産業の国有化
  • 所得制限
  • インドを自治領にし、大英帝国からの脱退権を認める

 

などがある。オーウェルは民主的な社会主義(≠共産主義)を目指しており、資本主義にも結構な批判を食らわせている。詳しくはちくまライブラリーのオーウェル評論集(4)などに収録されている「ライオンと一角獣」に書かれている。

 

そこで、自分の数少ない知識と記憶よりイギリスの国有企業で思い出すものと言えば…

 

そう、ブリティッシュ・レイランド

 

かつてBBCのTopgear(三バカ時代)でジェレミー、リチャード、ジェームズに散々「仕事より焚き火が得意」とかイギリス自動車産業黒歴史としてネタにされ、その象徴として「モーリス・マリーナ」が何度もケアレス航空のピアノ爆撃で壊されたあのメーカー。

 

評論を読んだ時には「オーウェル先生、国有化した結果がこれだよ!」と思ってしまった。(ブリティッシュ・レイランドができたのはオーウェルの没後)

 

Topgearでブリティッシュ・レイランドをネタにされた話は今でもYoutubeで(英語版だけど)見れる。日本語版はチャレンジ企画をまとめたDVDが出ている。

www.youtube.com

 

 まあ、オーウェル先生の場合、あの世で「モスクワの奴らに唆された連中が集まるとこうなるんだよ」とでも言うかもしれない。

 

ちなみにブリティッシュ・レイランドのその後の顛末をWikipediaで確認してみると…

ブリティッシュ・レイランド - Wikipedia

 

ブリティッシュ・レイランドで扱っていたブランドは

  • ジャガー、ローバー、ランドローバーなど→タタ(インド)
  • MG、モーリス、オースチンなど→南京汽車(中国)
  • ミニなど→BMW(ドイツ)

といった具合に海外メーカーの手に渡ってイギリスの自動車産業はボロボロになっており、恐ろしい話である。ロータスもアジアの企業の傘下だしイギリス資本の自動車メーカーとして現存するのはアストンマーチンくらい?ここもダイムラーあたりの資本が入っていた気がするけど。

 

書いていて結局なんの話だったかわからなくなったが、オーウェルの話は面白いので「1984年」以外の著作もめっちゃ面白いし、勉強になる。ディケンズの話なんかはさっぱりわからなかったけど…