夜の海に立ち…

思いついた事をとりあえず書いてみる。

検証:DAZN参入でロードレース中継はどう変わったか?

・はじめに

2017年にRCSが主催するミラノ〜サンレモジロ・デ・イタリアイル・ロンバルディアフランダースクラシックが主催するツール・デ・フランドルなど多くのサイクルロードレースのイベントの放映権がこれまでのJ SPORTSからDAZNへ移動した。

 

2017年のDAZNミラノ〜サンレモは日本語実況・解説なし、ツール・デ・フランドルは謎の放送取りやめ、ジロ・デ・イタリアは日本語実況・解説がついたが実況・解説と映像の両方で不安定さがあり、混乱も多かった。

 

しかし、2018年になると実況・解説のレベルや映像の品質も向上し、UCIワールドツアーのレースを中心に今までは海外のストリーミングサイトを探さなければ見れなかったレースまで放送するなど質と量ともに大幅に向上してきている。

 

主要レースがJ SPORTSDAZNに分散した現状では視聴者の出費は増えるはずだが、2018年はJ SPORTSはハンマーシリーズなど、DAZNは春のクラシックなど両者とも放送するレースの新規開拓を図っており、実は追加出費の分はある程度元が取れているのではないかという気もしてきた。

 

ここで過去5年分(5年なのはなんとなく)の放送したレースの数と料金から1ステージ当たりの単価の変動を割り出し、何か見えてくるものがあるか検証してみたい。

 

 

・検証するにあたっての前提など

対象シーズンは2013〜2017年の過去5シーズンと2018年(2018年6月現在の実績と予定と過去からの推測)

過去の放送予定は公式サイトのInternet Archiveの過去ログやニュースサイト等から探す

ステージレースは1ステージ単位で計算する

ディレイ放送やダイジェスト放送の場合は放送日基準で計算する

各放送局ともレースの放送がある月のみ契約する計算とする

J SPORTSの料金はパック契約(J SPORTS 1+2+3+4)を基本とし、J SPORTSオンデマンドのみのレースがある場合はその月のみオンデマンド料金を加算

DAZNの通常契約は30日契約だが、計算が面倒なので1ヶ月単位で考える

世界選手権はSPEEDチャンネルに加入した計算とする

スカパー基本料やインターネットプロバイダ料金などは計算に含めない

シクロクロスやレース以外の番組(inCycleなど)および再放送は計算に含めない

多少抜けてたり間違いがあっても怒らないでね

※2019/1/19:2018年のデータをシーズン終了時点の状態に更新しました

 

・結果

(1)放送したレース数

DAZNの参入で視聴者は見れるレースの数は大幅に増えた。

 

J SPORTS

DAZN

SPEEDチャンネル

合計

2013

22

0

1

23

2014

29

0

1

30

2015

26

0

1

27

2016

25

0

1

26

2017

22

13

1

36

2018

27

57

1

85

 

色々と混乱のあった2017年でさえレース数のトータルは前年より増えており、2018年に至ってはさらに倍のレースを見れることになった。

 

DAZNは2018年になってE3ハーレルベーケやドワルス・ドール・フラーンデレンなどクラシックレースの放送を大量に追加したり、ツール・ド・スイスの放送を開幕直前で追加したり、量がとてつもないことになっている。

 

J SPORTSDAZNに移った分をハンマーシリーズやエシュボルン=フランクフルトなどを追加して埋めようとしているが、DAZNの物量の前に圧倒的な差をつけられている。ツール・ド・フランスを持っているアドバンテージが命綱かもしれない。

 

 

(2)年間の料金とステージ当たりの単価

DAZNの参入で年間の支出額は激増したが、ステージ当たりの単価で考えれば安くなった。

 

レース数

日数

年間料金(税込)

ステージ単価

備考

2013

23

118

¥ 25,263

¥ 214

 

2014

30

136

¥ 26,898

¥ 198

4月から消費税8%

2015

27

125

¥ 27,836

¥ 223

 

2016

26

128

¥ 32,711

¥ 256

 

2017

36

158

¥ 46,937

¥ 297

DAZN参入

2018

85

285

¥ 51,242

¥ 180

 

 

DAZN参入前もJ SPORTSオンデマンド限定配信の登場によって年間の料金は上昇傾向にあった。そこへ2017年のDAZNの参入により年間で1万円以上という決定的な跳ね上がり方をしている。

 

2018年も年間の料金はさらに増加しているが、レース数が激増したことによりステージあたりの単価は調査した期間の間で最安値となる。 

 

単価が下がるほど見れるレースが多いのはコアなファンには喜ばしいかもしれないが、ライトなファンはついていけなくなる可能性もある。

 

 

(3)まとめ

結局のところ視聴者は元を取りたければ、レストランのバイキングのように片っ端からレースを見ようということではないだろうか。

 

なるべく安く済ませたいならば、契約する月を限定することやJ SPORTSはオンデマンド契約だけにすることやDAZNの割引狙いで携帯をドコモに変えることなどを検討した方がいいかもしれない。

 

 

・おまけ:計算の詳細

計算の詳細はこちらの表計算に。Numbers形式だけど…

パスワードは"hatena"で。

http://fast-uploader.com/file/7086103089062/